特 殊 健 康 診 断
労働安全衛生法に基づく健康診断
1)じん肺健康診断(じん肺法第3条、第7条~第9条の2)
| 健康診断項目 |
| 粉じん作業についての職歴の調査 |
| 直接撮影による胸部全域のエックス線写真による検査 |
| 胸部に関する臨床検査(既往歴の調査・胸部の自覚症状および他覚所見の有無) |
| 肺機能検査 |
| 「一次検査」 |
| スパイロメトリーおよびフローボリューム曲線による検査 |
| 「二次検査」 |
| 動脈血ガスを分析する検査 |
| 結核精密検査(結核またはその疑いのある者、医師が必要でないと認める場合は一部の検査を省略可) 結核菌検査・エックス線特殊撮影による検査・赤血球沈降速度検査・ツベルクリン反応検査) |
| その他の検査(肺結核以外の合併症が疑いがある者については次の検査のうち、医師が必要と認めた項目) 結核菌検査・たんに関する検査・エックス線特殊撮影による検査 |
2)有機溶剤健康診断(有機溶剤中毒予防規則第29条)
法令で定められた有機溶剤業務に従事する労働者に対しては、雇入れの際、当該業務への配置替えの際およびその6月以内ごとに1回定期に、次の項目の健康診断をおこなわなければなりません。
| 健康診断項目 |
「必ず実施すべき項目」
| 1.業務の経歴の調査 | |
| 2・有機溶剤による 健康障害の既往歴の調査 自覚症状および他覚症状の調査 4.の既往の検査結果の調査 有機溶剤による5~8及び10~13に掲げる異常所見の既往の有無の調査 |
|
| 3.自覚症状又は他覚症状の有無の検査 | |
| 4.血液中,尿中又は呼気中の有機溶剤又はその代謝物の量の検査 | 年2回の検査うち1回は医師の判断で省略可 (省略要件があります) 該当溶剤については次表参照 |
| 5.尿中の蛋白の有無の検査 | |
| 6.肝機能検査(GOT、GPT、γーGTP) | 該当溶剤については次表参照 |
| 7.貧血検査(赤血球数、血色素量) | |
| 8.眼底検査 | |
| 「医師が必要と判断した場合に実施しなければならない項目」 | |
| 9.作業条件の調査 | |
| 10.貧血検査 | |
| 11.肝機能検査 | |
| 12.腎機能検査(尿中の蛋白の有無を除く) | |
| 13.神経内科学的検査 | |
有機溶剤と検査項目
| 有機溶剤の種類 | 代謝物 | 肝機能 | 貧血 | 眼底 |
| キシレン、スチレン、トルエン、1.1.1-トリクロルエタン、ノルマルヘキサン | 〇 | |||
| N.N-ジメチルホルムアミド、トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン | 〇 | 〇 | ||
| クロルベンゼン,オルトジクロルベンゼン,クロロホルム,四塩化炭素,1.4-ジオキサン,1.2-ジクロルエタン,1.2-ジクロルエチレン,1.1.2.2-テトラクロルエタン,クレゾール | 〇 | |||
| エチレングリコールモノエチルエ-テル,エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート,エチレングリコールモノブチルエーテル,エチレングリコールモノメチルエーテル | 〇 | |||
| 二硫化炭素 | 〇 |
代謝物の検査内容と分布
| 対象物質名 | 検査内容 | 単位 | 分布 | ||
| 1 | 2 | 3 | |||
| キシレン | 尿中メチル馬尿酸 | g/l | 0.5以下 | 0.5超 1.5以下 | 1.5超 |
| N.N-ジメチルホルムアミド | 尿中N-メチルホルムアミド | mg/l | 10以下 | 10超 40以下 | 40超 |
| スチレン | 尿中マンデル酸 | g/l | 0.3以下 | 0.3超 1以下 | 1超 |
| テトラクロルエチレン (どちらかの項目) |
尿中トリクロル酢酸 | mg/l | 3以下 | 3超 10以下 | 10超 |
| 尿中総三塩化物 | mg/l | 3以下 | 3超 10以下 | 10超 | |
| 1.1.1-トリクロルエタン (どちらかの項目) |
尿中トリクロル酢酸 | mg/l | 3以下 | 3超 10以下 | 10超 |
| 尿中総三塩化物 | mg/l | 10以下 | 10超 40以下 | 40超 | |
| トリクロルエチレン (どちらかの項目) |
尿中トリクロル酢酸 | mg/l | 30以下 | 10超 100以下 | 100超 |
| 尿中総三塩化物 | mg/l | 100以下 | 100超 300以下 | 300超 | |
| トルエン | 尿中馬尿酸 | g/l | 1以下 | 1超 2.5以下 | 2.5超 |
| ノルマルヘキサン | 尿中2.5-ヘキサンジオン | mg/l | 2以下 | 2超 5以下 | 5超 |
3)鉛健康診断(鉛中毒予防規則第53条)
法令で定められた鉛業務に従事する労働者に対しては、雇入れの際、当該業務への配置替えの際およびその6月以内ごとに1回定期に、次の項目の健康診断をおこなわなければなりません。
| 健康診断項目 |
「必ず実施すべき項目」
| 1.業務の経歴の調査 | |
| 2.鉛による自覚症状および他覚症状の既往歴の調査 血液中の鉛の量および尿中のデルタアミノレブリン酸の量の既往の検査結果の調査 |
|
| 3.自覚症状又は他覚症状の有無の検査 | |
| 4.血液中の鉛の量の検査 | 年2回の検査うち1回は医師の判断で省略可(省略要件があります) |
| 5.尿中デルタアミノレブリン酸の量の検査 | |
「医師が必要と判断した場合に実施しなければならない項目」
| 6.作業条件の調査 |
| 7.貧血検査 |
| 8.赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査 |
| 9.神経内科学的検査 |
検査内容と分布
| 検査内容 | 単位 | 分布 | ||
| 1 | 2 | 3 | ||
| 血液中の鉛の量 | μg/100ml | 20以下 | 20超 40以下 | 40超 |
| 尿中デルタアミノレブリン酸の量 | mg/l | 5以下 | 5超 10以下 | 10超 |
| 赤血球中のプロトポルフィリンの量 | μg/100ml赤血球 | 100以下 | 100超 250以下 | 250超 |
4)電離放射線健康診断(電離放射線障害防止規則第56条)
放射線業務に従事し管理区域に立ち入る労働者に対しては、雇入れの際または当該業務への配置替えの際およびその後6月以内ごとに1回、定期に、次の項目の健康診断をおこなわなければなりません。
| 健康診断項目 | |
| 白血球数および白血球百分率の検査 | 定期に行う健診については、医師が必要でないと認める場合に省略可 |
| 赤血球数、血色素量またはヘマトクリット値の検査 | |
| 白内障に関する眼の検査 (雇入れの際または配置替えの際は線種に応じて省略可) |
|
| 皮膚の検査 | |
5)特定化学物質健康診断(特定化学物質等障害予防規則第39条)
特定化学物質を取り扱う労働者に対しては、雇入れの際、当該業務への配置替えの際およびその6月以内ごと(ベリリウムおよびニッケルカルボニルを取り扱う労働者に対する胸部エックス線直接撮影法による検査は1年以内ごと)に1回定期に実施しなければなりません。
6)高気圧業務健康診断(高気圧作業安全衛生規則第38条)
高圧室内業務または潜水業務に従事する労働者に対しては、雇入れの際、当該業務への配置替えの際およびその後6月以内ごとに1回定期に、次の項目の健康診断をおこなわなければなりません。
| 健康診断項目 |
| 「第一次検査」 |
| 既往歴および高気圧業務歴の調査 |
| 関節、腰もしくは下肢の痛み、耳鳴りなどの自覚症状または他覚症状の有無の検査 |
| 四肢の運動機能の検査 |
| 鼓膜および聴力の検査 |
| 血圧の測定ならびに尿中の糖および蛋白の有無の検査 |
| 肺活量の測定 |
| 「第二次検査」(一次検査の結果、医師が必要と認めた者) |
| 作業条件調査 |
| 肺換気機能検査 |
| 心電図検査 |
| 関節部のエックス線直接撮影による検査 |
7)四アルキル鉛健康診断(四アルキル鉛中毒予防規則第22条)
四アルキル鉛等業務に従事する労働者に対しては、雇入れの際、当該業務への配置替えの際およびその後3月以内ごとに1回定期に、次の項目の健康診断をおこなわなければなりません。
| 健康診断項目 |
| いらいら、不眠、悪夢、食欲不振、顔面蒼白、倦怠感、盗汗、頭痛、振せん、四肢の腱反射亢進、悪心、嘔吐、腹痛、不安、興奮、記憶障害その他の神経症状又は精神症状の有無の検査 |
| 血圧の測定 |
| 血色素量または全血比重の検査 |
| 好塩基点赤血球数又は尿中のコプロポルフィリンの検査 |
8)歯科健康診断
次の物質のガス、蒸気または粉じんを発散する場所における業務に従事する労働者に対しては、雇入れの際、当該業務への配置替えの際およびその後6月以内ごとに1回定期に、歯科医師による健康診断を実施しなければなりません。
塩酸・硝酸・硫酸・亜硫酸・フッ化水素・黄りん・その他歯またはその支持組織に有害な物


